出汁(だし)とうま味の基本

美味しい料理を作るうえで欠かせないのが、出汁(だし)です。
だしの効いた「うま味」のある料理は、理論を知れば簡単に作れます。

だし汁

そもそも「出汁(だし)」とは何?

出汁(だし)とは、料理に使う、うま味成分を含む汁状のものです。日本の料理では、昆布、干ししいたけ、かつお節、煮干などから出汁をとりますが、それらの材料にはうま味成分が多く含まれています。

日本では昔から塩味や甘みとは異なる「うま味」の存在が体験的に知られていましたが、世界的には、ごく最近(2000年)になってから、甘み、辛味、苦味、酸味に続く5つ目の味覚「うま味」の存在が認知されるようになりました。

主なうま味の成分は、下記の3つです。

<アミノ酸系>
グルタミン酸...植物に含まれることが多い
昆布、チーズ、緑茶、白菜、トマト、たまねぎ、ねぎ、マグロ、のり、あさり

<核酸系>
グアニル酸...きのこ類など
干ししいたけ、まいたけ

イノシン酸...動物に含まれることが多い
かつお節、煮干、サバ、鯛、アジ、豚肉、牛肉、卵など

<有機酸系>
コハク酸...貝類


そして、出汁に関する、重要ポイントがひとつ。
アミノ酸系の出汁と核酸系の出汁が同時に使われると、相乗効果でうま味が飛躍的に強くなります。

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つまり、うまい料理を作るためには、2種類以上のものから出汁をとると良いのです。
この相乗効果は「あわせ出汁(だし)」などで、経験的に料理に活用されていますが、だし汁として2種類とらなくても、だし汁+具材あわせて2種類のうま味が出れば、同じ効果を得られます。

<うま味の相乗効果の例>
こんぶだし(グルタミン酸)+きのこ類(グアニル酸)
こんぶだし(グルタミン酸)+豚肉(イノシン酸)
こんぶだし(グルタミン酸)+かつおだし(イノシン酸)
などです。

私が料理するときは、
・ 肉や卵が入る料理ではこんぶだし
・ うどんだしなど出汁の味が中心になる料理の場合はこんぶ+かつおのあわせだし
を作っています。


<こんぶだしの作り方>

(うどん1人分または味噌汁2人分)
水...400cc
こんぶ...2センチ×5センチくらい
※ぶ厚い昆布を使うときは、昆布の量を半分(1センチ×10センチ)に減らしても大丈夫です。
※1回に使う分を、あらかじめハサミで切っておくと便利です。
※こんぶの表面についている粉は、汚れではなく、うま味成分です。洗わずに使います。汚れが気になる場合はふきんで拭いてください。

こんぶだし

1. 鍋に水を入れ、こんぶを入れ、火にかける。
2. 水が沸騰しかけたら(小さな泡が多く出るくらい)火を止めて、2、3分置く。
※ボコボコ沸騰させると風味が飛んでしまうのでダメです。

3. こんぶを菜箸で取り除きます。


<こんぶ・かつおの合わせだしの作り方>

(うどん1人分または味噌汁2人分)
水...400cc
こんぶ...2センチ×10センチくらい
※ぶ厚い昆布を使うときは、昆布の量を半分(1センチ×10センチ)に減らしても大丈夫です。
かつお節パック...1パック(3グラム) ※頻繁に使わない方は小分けパックがオススメです。

1. 鍋に水を入れ、こんぶを入れ、火にかける。
2. 水が沸騰しかけたら(小さな泡が多く出るくらい)かつおぶしを加え、火を止めて2、3分置く。

かつおパックを入れる

3. こんぶ、かつお節が鍋の底に沈むので、そーっと網ですくいます。

出汁をこす

だしを漉す大きな網を使う方法もあるのですが、網の掃除がけっこう面倒です...
少しかつおの粉が少し残りますが、私は、沈んだかつお節をあく取り網ですくって使っています。


うどんだしの作り方(1人分)

上記のこんぶ・かつおの合わせだし(仕上がり量350cc程度)を弱火にかけ、下記の調味料で味付けし、火を止める。

塩...2つまみ(1.5グラム)
濃口醤油...小さじ1
薄口醤油...小さじ1

市販のだしも美味しいですが、手作りもかんたん。
ぜひ皆さんの「我が家の味」、見つけてください。

料理の理論についてもっと知りたい方向けの本

いろいろ調べてみると、料理は科学!です。こういう方向性って、男性にも向いている気がします。


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